雨後雨

いつも降っています。日差しがあっても。

「54±3」

「54±3」

なんのこっちゃ?

 

私が30代の頃に書いてみた小説のタイトルです。

400字詰で600頁位の自分としては長くて頑張った作品なのですが、

結局、なにかに応募することもなく、世に問う事も無かったフィクション

です。

 

ストーリーは、長くて冷たい梅雨が続いた後、ジリジリと気温が上昇して

行き、それでも忍耐強い日本人は暑さに耐えて働き、日々の営みを行い

続けます。しかし、日中の平均気温が45度を超え、夜間も40度を下回る

ことが無くなると社会機能が麻痺していきます。

電力の供給が不足して、47度を越す気温になると人々は働く事よりも

生き延びる術を探る様に。

8月も下旬になっても気温は下がる気配は無く、既に涼しさはお金で買える

状況ではなくなっています。

血液が沸騰する様な状況で、主人公のうだつの上がらない30代の青年は

なんとか死なずに済む方法を模索し続けます。

タイトルの「54±3」はエアコンの無い主人公の部屋にある「3度位誤差の

有る」60度まで表示のある小学校の修学旅行で買った温度計の付いた

ペン立てから。

10月に入って3度の誤差を引いても確実に50度を超える気温になり、

衰弱した主人公も遂に死を意識します。

と、その時・・・・・・。

 

と言った内容です。

ポリティカルフィクションと言うよりは、多分に社会風刺を描きたかった

のは、当時の私が鬱屈していたからでしょう。

気温の上昇という現象が、社会的地位を徐々に徐々に奪い取り、

身体的な淘汰が行われる術をねじ曲がった視点で表現していましたw

自分で書いた物を読み返すのは死ぬほど恥ずかしいのですが、

もう一度読んで、「もうちょっと力を抜けよ」と30代の自分に言って

あげたいです。

唯、原稿は電子化してハードディスクに保管した筈なのですが、

どこに格納しちゃったのか、一向に発掘出来ません。

まあ、読むに値しないので、いつも私の文才の無さを笑っていた

既に鬼籍に入った姉辺りが消去してしまったのでしょう。

 

西日本で豪雨が続いているので、気象絡みでそんな昔のことを思い出し

ました。どうか、被害がこれ以上大きくなりません様に。