「岩壁よ おはよう」
長谷川恒男
長谷川さんは60年代から80年代に掛けて活躍された日本を代表する
登山家です。
ヨーロッパ三大北壁(アイガー、グランドジョラス、マッターホルン)の
冬季単独登攀に世界で初めて成功し、当時他に類を見ない程の圧倒的な
実力を持ったアルパインクライマーでした。
残念ながら91年にウルタルII峰で雪崩に巻き込まれてお亡くなりになって
しまいますが、国内外で行った大岩壁での登攀は今尚、色褪せることは
ありません。
特に人間関係に悩んで単独登攀に傾倒していく過程は、
スポーツとしては割り切れない真の登山&岩登りの難しさと楽しさを
体現していています。
この本はそんな長谷川さんの若き日の回顧録です。
山は変わらずにそこに在る。
登山の素晴らしいところは、数十年前に行ったクライマーの行為を
追体験出来ることだと思います。
そしてそれが行われている限り長谷川さんの登攀も岳人の中に
生き続けることでしょう。